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算術計算の盲点を読取る! 『トヨタ生産方式の原点』①
ーかんばん方式の生みの親が「現場力を語る」ー
『トヨタ生産方式の原点』
大野耐一著:日本能率協会マネジメントセンター
昭和57年に出版され,、平成13年には新装版として出版された『大野耐一の現場経営』を再編集し刊行された書物を、最近入手しました。
その中の第1章「トヨタの現場力」に、
「算術計算の盲点」という頁があります。
内容は、『トヨタの現場管理』に出てくる、原価主義はとらないを解説しているのですが、学んだことよりも式が一つ多い!ということに気づきました。
①売価ー原価=利益 ②利益=売価ー原価 ③売価=原価+利益
この3つの式、数字を当てはめるとどれも同じになってしまい、10ヶ作るよりも20ヶ作る方が安くできるんじゃないの?というふうになってしまうのですが、根本の考え方が全く違うのです。
解りやすく「+・ー・=」を全て文章にしてみますと、
①の式は、市場が求める、顧客が「この値段なら買いますよ~」という【売価】から、固定費と変動費を合わせたものから成る【原価】を引いたものが【利益】です!という式です。
②の式は、①の式と同じじゃない!と思ってしまうかもしれませんが、順番が違うと、【利益】を得るためには、売り手・作り手が【売価】を決めて、そこから【原価】を引きましょう!という考え方の式です。
③の式は、【原価】や【利益】の変動で、【売価】が変わってしまいます!という考え方の式になります。
つまり、高級品志向と称して色々な付加価値を追加したり、華美にしたりしても、それが顧客の望むもの・価格でなければ、売れないということです。
また、人件費が高騰した!材料費が高騰した!からの理由で売値を上げても、顧客が求める価格と違えば、やはりそれは売れない!ということになります。
沢山作っても、それが売れなければ在庫となり、資産ではなく債務に繋がってしまいます。
【利益】がなければ、企業は存続できません。
顧客が求める【売価】から、いかにして【原価】を下げて【利益】を高めていくかを考えないといけないという式が、①となるわけです。
本文の中に、
「原価というものは計算するためにあるんじゃないんだ、下げるためにあるんだと。だからいろんなことをやっても、原価が下がるのか、原価が下がらんのか、これが一番大事な問題になっている。」とあります。
算術計算の錯覚に陥らないよう、注意したいものです。
*この考え方を基に、「トヨタの言葉あれこれ」頁の一部を修正しました↓
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