№100 「生涯青春‼で生きる ハッピーエイジング」

生涯青春 インタビュー
生涯青春で生きるための貴重なヒントをたくさんいただきました。 みんなで実践してハッピーエイジング。生涯青春!してまいります!

令和5年7月26日㈬

学校法人順天堂 理事 名誉教授 佐藤 信紘 様
未病医学研究センター 所長 天野 暁 様
eHealthclnic 院長・産業医 天野 方一 様

 一昨年から当社の産業医をお願いしている予防医療の専門家である天野方一先生と、そのお母さまで未病医学の第一人者の天野暁先生、そしてその両名の恩師である順天堂大学の名誉教授、佐藤信紘先生──各々の医学の専門分野に情熱を燃やすことでハッピーエイジングを体現され、なおかつ患者様のハッピーエイジングを支援されているお三方に、当社のキャッチコピーである『生涯青春』で生きる秘訣をお聞きしました。

お三方の出会い

天野先生 佐藤先生との出会いは、私が36歳の頃、順天堂大学で博士号をとるための最後の論文審査の場です。教授がずらっと並ぶ中、絶対に無理だと緊張で下ばかり見ていた私に「顔を上げてください」と声をかけてくださったのが佐藤先生でした。
 私は当時、日本における未病医学に関する論文を書いていたのですが、佐藤先生はその内容について「このテーマに、君のこれからの5年、10年、一生をかけて、日本のために頑張ってください」とおっしゃってくださって。これまでの苦労が報われたようで、思わずワーッと涙が出て、それを佐藤先生は温かく受け止めてくださりました。あの言葉が今でも私の仕事の原動力になっています。もし先生と出会えなかったら、おそらく勉強は学位をとったらもう終わりで、今の半分くらいの情熱しか残っていなかったのではないかと思います。私の研究人生で、東大やハーバードなど場所を変えても、ずっと永遠に原点は先生の言葉にあります。
佐藤先生 ちょうどその頃、順天堂の僕の講座には僕みたいに外部からきた先生がたくさんいましてね。特に天野先生のように中国から来られた人が苦労しながら新しい研究をしようとしていて、それに触発されるように皆が燃えていた時代でした。
 そんな中で出会った天野先生の論文に書かれていたのは、未病医学という日本では新しい医学、新しい医療でした。未病とは、すでに病気になっている既病と、あるいは病気のない全く健康な状態……この間をたどっていくものです。これを学問として、サイエンスとしてやっていきたいという非常に意気に燃えた発表でした。だから、一生やる価値がある学問を手掛けようとしているね、という話をしました。
天野先生 あの時のような、人間と人間が通じ合った瞬間の感動とエネルギーは、永遠です。私の魂まで、先生のお言葉が届いて、ずっと生きて、私を突き動かしているのです。だから、息子の方一にも何回もこの話を聞かせているし、佐藤先生のところにも小さなころから連れて行っています。
方一先生 そうですね、母から何度も聞かされて育ちました。母に連れられて5、6歳の頃から佐藤先生にお会いして、私も同じく、佐藤先生からエネルギーをいただいています。受験、医学部で勉強が大変だった時、医大を卒業した時、研修医の時、博士号をとる時、留学する時、帰国後……全ての人生のターニングポイントで先生に報告して、元気をいただいています。
佐藤先生 初めて会った頃の方一君は幼かったね、僕と天野先生が話している間、ソファーで飛び跳ねていたものね。それが立派になりましたよ、この彼は。

先生方のやり取りの随所に、強い絆と信頼関係を感じました。 (左から、天野方一先生、天野暁(劉影)先生、佐藤信紘先生)

未病医学とは

関根社長 『未病』という考え方は、まだ日本でも広く一般的には知られていないと思うのですが、読者の方に向けてわかりやすく言うとどういうことなのでしょうか?
天野先生 未病は、なにも新しいものではなく、東洋医学にルーツをもつ古くからある考え方です。東洋医学というと、漢方を思い浮かべる方が多いと思います。ですが、実は東洋医学はただ「葛根湯を飲んで不調を治す」という考え方ではなくて、大きな器は哲学なのです。未病は、その哲学の中で重要な考え方です。
方一先生 これまでの日本では、健康な状態と病気の状態ははっきりと線引きされていました。しかし、未病は健康~病気までのグラデーションの部分を指します。さらに広い見方をすれば、健康から病気になって最後は亡くなるまでを線で結んだ時に、そのどこかに点を置いたら、その手前が全て未病なんですよ。「今の状態はここだけど、それを少しでも健康な方に持っていこう」という、相対的かつ段階的なアプローチができるのです。
天野先生 なので私は、病気であっても、死ぬ前の状態は、すべてが未病であると考えています。病気の中の未病は、病気の中の健康という捉え方ができるのです。例えば、食事で言えば、ステーキはもう体が受け付けない、というのは病気かもしれませんが、その中でも芋なら食べられる、というのは病気の中の健康です。走れないけど階段を上ることはできる、というのも同じことですね。
 だとするならば、その人その人の置かれた『現時点』から、少しでも健康な方に『戻る』ためにはどうすればいいのか、ということが考えられます。どんな人でも、その人が最期を迎えるまでに、より健康な状態を取り戻す可能性を持っているのです。それを実現することを『未病を治する』『治未病』といい、それを考え、施していくのが未病医学なのです。

 

それぞれの専門分野から見た『生涯青春』で生きる秘訣

佐藤先生 消化器やジェロントロジー(老年学)を研究してきて、食の重要性を強く感じています。僕らはエネルギーを得るために食事をします。エネルギーがないと僕たちの身体は作り変えることができなくなり、壊れていく一方になってしまうからです。そのために何を食べるかというと、そのほとんどが生き物です。僕たちは今のところ、薬だけ──アミノ酸だけ、カルボン酸だけ、アルコールだけで生きることはできません。肉、魚、野菜を食べて、消化する中で効率よく使えるように程よくバラバラに壊して、それを自分の身体としてもう一度組みなおす。それを日々繰り返すことで、若さをいつまでも保つことができます。
 しかし、ただ食べるだけでそれができるかというと、そうではありません。食べ物を消化して健康的な血と肉にしていくためには、僕たちはエネルギーを作り、使う必要があるのです。動く、働く、頭を使う。声を出してコミュニケーションをとる。何でもいいです。動くことでエネルギーを消費すると、新たにエネルギーを産生するために呼吸を激しくして酸素を補給し、循環を活性化します。そのことによってこそ、健康が保たれるのです。

これまでに日本になかった『未病』の考えを学問化し、 広めてきた天野先生。お言葉の端々から、患者様の人 生と健康への温かな想いと情熱が伝わってきました。

関根社長 当社のさわやか社員さんは、よく私に、「元気な限り働きます」って言うんですよ。でもそれは違いますねと「働いているから元気なんですよ」と言うと、皆さんそれは確かにそうだと実感されています。
佐藤先生 なるほど。働いているから元気、というのは正しいですね。
方一先生 新日本さんの社員は皆さん元気なんですよ。産業医としていろいろな会社をみていますが、目の輝きが全くなくなっているような会社もいっぱいある中で、本当に元気なんですよね。仕事は結構忙しい方だと思うのに、皆楽しそうにやっているのが、他の会社と比べたときに本当に不思議で。
佐藤先生 それは良いことですね。食べて、身体を動かして、エネルギーを得て身体を作り替えていくことを『身体的な進化』とすると、もう一つ大事なものとして『文化的な進化』があります。働いて、動いて、何かをしたことによって誰かに喜んでいただくという世界です。新日本さんがやってらっしゃることは、人々が本当に気持ちよく過ごせるように、というところから始まって、塵ひとつない、整った世界をつくり、その中で人々が美しい姿で明るい表情をしながら生き、談笑する
──そういう場づくりをしているということで、これは社会にとってものすごく大事なことなんですよ。そんな文化的な進化が身近にあるからかもしれないですね。
天野先生 私は未病医学やアンチエイジングを専門としてきて2つ大事なポイントがあると思っています。一つは、情熱を持つこと。もう一つは、進化することです。
 私は初老期の女性たちを主に診ているのですが、情熱があると多くの未病は改善できると感じています。初老期の女性が抱えがちな不調として、子どもが大きくなって離れていくことで感じる鬱症状が挙げられます。子育てをしていた昔のあり方でずっと止まったままで、育児に向けていた情熱がなくなってしまうことが背景です。この状態では、いくら心療内科に行っても、いくら漢方をもらっても良くならないのです。彼女たちに足りないものは、育児に代わる新しい情熱です。仕事、趣味──花でも、遊びでも、運動でも、なんでもいいから、情熱を持てる何かを持つことだと、実感する場面が多々ありました。
 もう一つの『進化』ですが、東洋医学の未病の哲学に『いかに楽しむか』という考え方があります。いかに生きるか、いかに幸せを得るか……生き物、命としてではなく、人としてのアンチエイジングのススメが、中国4000年の医学の哲学の中にあります。仕事に限らず、趣味でもいいのです。『いかに楽しむか』『いかに幸せを得るか』を主軸に、どんどん生き方を進化させていくことが大切です。それは、どんなに年をとったとしてもです。子が巣立ち、両親が亡くなって、伴侶が亡くなって……色々な別れがあるけれど、それでも進化を止めず、情熱を持ち続けること。それを意識する習慣を持つことが、心も体も長く健康で若々しくいるための秘訣だと思います。
方一先生 その習慣を持つためにも、肉体的な背景が必要だと僕は考えています。情熱と進化、という習慣を身につけたいからと言ってそれが誰にでもすぐにできるわけではなくて、背景になるような食生活も大切です。佐藤先生のお話につながりますね。
 近年の研究で、腸内細菌がその人の生き方を方向付けていることがわかってきています。私たちは、自分で自分の生き方や、その時々の選択を決めているように思っていますが、実は身体によって決めさせられていることがたくさんあります。だからこそ、健康的な食事で、情熱を持ち続け、進化をし続けられる身体をつくることが重要です。

 

これからの医療の在り方

関根社長 皆さん、医学の最先端を突き進んでこられましたが、これからの医療の在り方について、お考えを聞かせてください。
佐藤先生 それは、心を支えることだと思います。その人が亡くなる寸前まで情熱をもって生きることをどうやって患者さんを導くかだと思います。
天野先生 私もそれを実感した経験があります。ある著名人のお父様が末期がんで、名医にかかってあらゆる手を打っても難しく、どうしたらいいかと相談を受けたとき、そのお父様に『淡々如水』と伝えたことがあります。淡々如水とは、未病の思想です。人間が病気に対して打てる手がなくなり、苦しむときに、水のように淡々と、心の中で静かにそれを受け入れて、自然に任せるという究極の無の状態を指します。
 そう伝えると、バーッと涙を流されましたね。次に病室に呼ばれたときには、薬を持ってくるのではなく、老子の、気を高める本を集めて持ってきてくれと言われたほど、心を持ち直してくれました。彼が最期に欲しかったのは、名だたる病院の高級緩和治療だけでなく、自分の心を支えるなにかだったのです。
 末期がんでしたから、彼の病気を治してあげることはできなかったけれども、思いが通じ合ったことが、自分の中ですごく勉強になりました。病気で痩せてしわしわになって、絶望の底にいる彼の瞳から、命の輝きそのものである涙が零れ落ちた瞬間を、今でも鮮明に思い出します。
佐藤先生 彼女のこれが、やろうと思ってもなかなか難しいんですよ。患者さんとの信頼関係が土台にないと、私たち医師がどんなにポジティブな声掛けを心掛けだとしても、重みをもってポジティブに受けとめていただくことが難しい。
天野先生 だから私はまず笑顔をつくる。私の医師としての能力よりも、まず笑顔。それがないと関係が始まらないから。
佐藤先生 そうだね。だからこれからの医師は、心が豊かで経験があって、医学医療のことを俯瞰してみながら、目の前の患者さんが病に絶望感を持っている中で何か一条の光を見出せるような言葉をうまく発することができるか。それは若いからできない、年寄りならできるというものでは必ずしもありません。一言で言えば豊かな感性を持ち合わせることですね。

私たちの仕事の重要性を、壮大かつ身近な視点で説いてくださる 佐藤先生のお言葉に、私たちは感動しきりでした。

清掃の意義

佐藤先生 今、日本が、世界全体が落ち込んできていますよね。これはまずい傾向です。そんな中で、皆さんがやってらっしゃる整理整頓・きれいにすることって、社会にとってものすごく重要な、貴重な仕事なのだと思います。整理整頓する・きれいにすることは、すなわち物事を秩序化するということなんです。放っておいたらバラバラになるもの、放っておいたら増えていくゴミを捨てたり、きっちりと整えていくということ。
 それがなぜ重要かというと、秩序化は私たち動物に、さらには社会にも備わっている、進化の礎だからです。
 まず私たちの身体は、元素でできていますね。それは細かく見れば、一つ一つバラバラな粒子なわけです。それらが組み合わさることで分子になって、さらに順序良くまとまりあうことで高分子化して、それらがネットワークを組みながら互いに連携しあって、細胞の中に入り込んで、一つの細胞としての活動を効率化していきます。そして、隣り合う細胞同士が細胞間クロストークという会話をして、情報や物質のやりとりをしたり、老廃物を捨てることで、一つの生命としての活動を効率化していくのです。これらは全て、秩序化のプロセスなんですよ。
 では社会はというと、まったく同じです。人同士、組織同士、会社同士、国家同士でクロストークしているのです。秩序がなく各々がバラバラだと、そんなやり取りはできません。お互いに調和し合うことで、秩序立てることで、社会が成立しているのです。
 動物も、社会も、秩序化することによってはじめて『もっと大きくするためには』『もっと豊かにするためには』『もっと効率化するためには』『もっと良くするためには』という進化ができます。これが自然の成り行きなのです。
 そうしてみると、新日本さんがやってらっしゃる仕事は、例えばこの部屋が使われて汚くなっても、あなたがたによって秩序化されてるに違いないと思う。そしてその秩序化を礎にして、人や社会の交流が生まれて、進化が生まれる。人々が、世界がより良くなる。こう読めるわけです。
 そうすると、人類社会で最も大事な仕事の一端をあなたたちはやってるんだと。こう考えると皆さんどうですか?ご自身の仕事に対して一層情熱がわいてきませんか?そうであったら嬉しいですね。

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